お伊勢さんのおかげ横丁にて、瓦屋がワクワクするわけ

仕事で伊勢に来ました。最終日、帰る前に神宮の内宮さんの近所にあるおかげ横丁によりました。あの、赤福の本店があるところです。お土産を買おうと思いまして…。

で、このおかげ横丁ですが、私のように瓦メインの屋根屋にとっては、ワクワクしっぱなしのワンダーランドです。(^^;;;

ここは、江戸時代末期から明治初期の門前町という感じで整備されているのです。…そういえば、京都にある東映太秦映画村の街並と似た空気が…。もっとも、太秦の方は江戸時代の下町の長屋風ですが、こちらは江戸時代最大の観光都市である伊勢の門前町です。しかも、全てセットではなく、実際に使われているんですよね。

ちなみに、建築としての特徴は、昔の伊勢の人が「神様のお住まいと同じ平入りでは恐れ多いから」と考えたため、妻の部分に玄関を設けた「妻入り」になっていたり、風雨の強い気候に耐えるため、外壁の仕上げが「きざみ囲い」だったりすることだそうです。あ、この知識は、おかげ横丁のホームページの受け売りです。

赤福本店の他にも、郵便局や銀行までもがそれっぽく作ってあります。

おかげ横丁で、瓦屋にとってワンダーランドであるゆえんは、その屋根の瓦がとてもいいんですねえ。写真を拡大してもらうとわかりますが、この写真ではおさるさんの形をした飾り瓦が、下屋根の上に取り付けてあります。他にもリスがいたり、きっと、一般の人はそんなに気にしないかも知れませんが、いやあ、瓦屋にとっては本当にワクワクします。

他にも、軒先の瓦が非常に凝っていたり、最近の民家では滅多にしない細工があったり…。おそらく、瓦屋さん以外にも、左官屋さんもワクワクする場所だろうと思います。

玄関先に飾る「しょうきさん(鍾馗さん・勝鬼さん)」という飾り瓦は、今でもたまに使います。これは、魔除けのための縁起物なんですが、写真のようなおさるさんの飾り瓦は、純粋に遊び心の装飾で、今こういうものをつける、ある意味裕福な人は、なかなかないですよね。

今回はデジカメの電池をきらしてしまったので、次回また訪れた時には、たくさん写真を撮りたいと思いました。

ところで、伊勢神宮と言えば、20年に一度の式年遷宮があるところです。お社が完成して神様が新しいお社にお移りになったら、そのお社には、天皇皇后両陛下と、ごくごく限られた祭官しか入れないそうです。

ところが台風などの風雨が強い地ですから、どうしても屋根に被害が及ぶことがあるとか…。ところが、建物自体に屋根屋は触れることができないですよね。両陛下が屋根に登って直すわけにもいかないでしょうし…(^^;;;。かといってそのままにしておくわけにもいきません。

やっぱり屋根屋が治すんですよ。ただし、その屋根屋はちゃんと身を浄めて、黒装束を着て屋根に上がるのだそうです。人間ではなく、カラスだということにして…。人間がのぼったんではなく、カラスが勝手に飛んで来て治していった、という体裁を取るのだそうです。これもまた、日本人の知恵なんでしょうねえ。

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