瓦で風水?塀の棟に「のし花」を使いました

京都市左京区岩倉幡枝町でのリフォーム工事にて、屋根の葺き替え工事をしました。

このお宅は、住み替えに伴ってリフォーム後、新しいご主人さんがお住まいになられます。

工事前、元請けの工務店さんから連絡があって、引っ越しに伴う祭典を神式にて行うということで、出席させていただきました。新築の家であれば、地鎮祭にあたるお祭りですね。

また、まだ工事中のある日、この日が引っ越しに良い日という時に、一部の荷物を運び込まれたり、そういう縁起的なしきたりをちゃんと守られる、しっかりしたお施主さんのようにお見受けしました。

それならという事で、のせ替えた瓦に、お施主さんの幸せを祈って、風水的な仕掛けをふたつ取り入れました。

のし花

そのひとつが、この写真の「のし花」です。

塀の棟に、鬼瓦を使わずに、「のし花」という瓦を使いました。写真に写っている塀の棟の左端、鬼瓦がありません。※ちなみに右端にもありませんが、右端はここから90度向こう側にまわって塀が続いて行く角なので、もともと鬼はないんです。

のし花のセット

これが「のし花」。別名「数寄屋カッポン」ともいう瓦です。(※この写真は、三州鬼瓦製造組合編集発行の、三州鬼瓦総合カタログから説明用に引用させていただきました。)

なんでこれが風水的?という話なんですが、まあここからは、わたしの想いです。(^^)

きっと、気にしない人にはなんの意味もない話ですが、当店は、お客様が「しあわせになれる屋根リフォーム専門店」なんです。そのためには、しっかりした仕事をする事は当然ですが、「お客様のしあわせ」という事に対して、想いを込めて、祈りを込めて仕事をする。それが大切だと思っています。

つまり、精神性というか、そういう想い・祈りのようなものが、仕事をした屋根に宿ると考えているんですよね。以前、「屋根から落ちないように、命を助けてくれる足袋の話」で書いたように、やっぱり物にも心が宿るんだと思うんですよ。そういう想いを持って考えた答えが、これだったんのです。

上の写真は、玄関前に上がって行く石段から写したんですが、石段の正面が塀になっています。玄関自体は、この写真の左端になります。

今「のし花」が納まっている位置に通常通り鬼瓦を納めると、玄関と相対する形になってしまいます。これが私としては、風水的に(風水ではなく、あくまでも風水的ですよ〜(^^;;;)よくないなと思ったんですよね。

日本においては、鬼瓦は魔除け・厄よけとしての意味を持つとされています。瓦が発祥した中国では、もともとそういう意味はあまりなかったようです。むしろこれは、私の思うに、縄文時代以来の日本人の自然に対する想いから生まれて、それが瓦が日本に伝来して以降、徐々に融合して行った結果だと思っていますが、ともかく、鬼瓦は、邪気をそこで食い止めて家の中に入ってこないようにする役目を持っているわけですね。

ところが、その鬼瓦が玄関の目と鼻の先に、玄関に向かっているとどうなるでしょう。当然、今度は家の中から出て行こうとする邪気を食い止めて、家の中に封じ込めてしまうわけです。

これはよくないなぁというわけで、棟の端っこには鬼瓦でない物をつけようと思ったのです。

鬼瓦でなくて棟の端を止める方法もいくつかありますが、今回「のし花」を選んだのは、この優美な「丸さ」ですね。玄関前、石段上にあって、帰ってくるお家の人や訪ねてくるお客さんを、最初に迎える瓦になります。だったら、しゃちほこばってお迎えするより、優しくお迎えしたいなぁと思いました。それにはこの優美な丸さがふさわしいと思ったんですね。

そんなわけで、お客様のしあわせのための風水的装置その一が、この「のし花」です。

もうひとつは、次の記事に書きましょう。乞うご期待…(^^)

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